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「やればできる」なんて嘘 |
サッカーのワールドカップ1次リーグが終わった。
日本は、決勝トーナメント進出どころか、1勝もできずにF組最下位に沈んだ。前回は4位と大健闘した韓国ですら決勝トーナメントに進めなかった。
決勝進出した国を見ると、おおむね戦前の予想通りで、今のところ波乱の少ない大会のように思う。
ところで、ワールドカップのたびに思うことがある。
このような、まさに世界のトップを争うようなレベルの高い世界では、
「あきらめずにやればできる」「夢をあきらめるな」
とか、
「勝つ! という強い気持ちがあれば勝てる」
とか、
「練習すれば(努力すれば)誰でも強くなれる」
とか、そうしたよく言われる言葉は、全く虚しい響きしか持たない。
たとえば日本vsブラジル戦、ブラジルは既に決勝トーナメント進出を決めており、日本戦はいわば消化試合。勝ちたい気持ちは、絶対に日本が上だったはず。
しかし結果は1−4。健闘はしたが惨敗だ。
実力の差をメンタルで埋めることはできなかった。
ピッチに立つ姿からして、日本選手とブラジル選手ではもう何かが違う気がした。
日本選手だって決して練習不足だったわけではあるまい。しかし、練習や努力は報われなかった。
才能が同じなら練習量の差がモノを言うだろうが、才能の差ををひっくり返すのは難しい。なぜなら、才能のある選手だって練習するわけだし、誰にとっても1日は24時間しかないわけだから……。
また、印象深いのはフランス大会の時、最終選考でカズこと三浦知良選手は選から漏れた。
カズは、誰よりもワールドカップ出場に情熱を燃やしていたし、まさか彼が練習不足だなどと言う人は誰もいない。
それでもダメだった。
カズは今でもインタビューには
「再び代表に選ばれることを、まだあきらめたわけではない」
と語ってはいるが、日韓大会、ドイツ大会ともにカズの名は候補にも挙がらない。将来、コーチや監督としてワールドカップに行くことはあるかもしれないが、選手としてピッチに立つことはおそらく無理だろう。
サッカーに限らず、すべてのことには持って生まれた才能ってものがある。
また、運や、めぐり合わせといった、自分自身ではどうにもできないこともある。
だから、どんなに頑張ってもできないことは確実にある。それはもう、運命と呼ぶ以外どうしようもないことだ。
何事でも成功するには努力や頑張りは必要不可欠なので、気持ちを奮い立たせる意味で、
「やればできる!」
「努力はいつか実を結ぶ!」
と言っているのはいいけれど、
本気で「やれば何でもできる」なんて思っている人は、まだ経験の浅い青二才か、挫折を知らないお坊ちゃんお譲ちゃんだという気がしてならない。
2006.06.24. たきざわ勝彦
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